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- アトピー性皮膚炎の治療薬 デュピクセント - むろた皮フ科
デュピクセントについて
デュピクセントはアトピー性皮膚炎の治療を行うための生物学的製剤です。比較的最近承認された治療薬で、ステロイド外用薬やプロトピック外用薬を用いての治療とは全く作用機序が異なる注射薬となります。アトピー性皮膚炎のかゆみや赤みなどの改善が期待できますが、費用が高額となりますが高額療養制度などを使うこともできますので、長年アトピー性皮膚炎に悩まされ、QOLが低下している方にはご検討いただきたい治療です。
デュピクセントの作用について
デュピクセントはアトピー性皮膚炎のかゆみや赤みなどの原因をブロックする作用があります。
デュピクセントはTh2というリンパ球から分泌されるサイトカイン(IL-4とIL-13)の働きを抑えます。このサイトカインが皮膚の炎症や、皮膚のバリア機能を低下させるため、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる原因物質となります。
またデュピクセントはアトピー性皮膚炎の重症度評価において、投与前と比較した場合75%の改善が見られた方が68.9%いたという結果が出ており、重症アトピー性皮膚炎の方への症状改善が期待できます。
デュピクセントの適応患者さんについて
デュピクセントの治療は以下の方がお受けいただけます。
<適応条件>
①成人アトピー性皮膚炎と診断され、医療機関にて6か月以上治療を行っている方
(ステロイド外用薬やプロトピック軟膏の治療などを行っていた方)
※これらの治療で症状が安定している方や、免疫抑制剤、光線療法を併用することで
改善が見込まれる方は治療できません。
②15歳以上の方(高校生以降)
③以下の項目において定められたスコア以上の方
・IGAスコアが3以上
・全身又は頭頚部のEASIスコアが16以上
・身体全身の面積においてアトピー性皮膚炎病変が占める割合が10%を越えていること
上記の条件を満たしている必要があります。
<注意すべき人 ※このような方は治療できません>
①喘息など他のアレルギー疾患を持っていて併発されている方
②寄生虫に感染している方
③妊婦、散布、授乳中の方
デュピクセントの治療の流れ
初回 投与1回目のみデュピクセント2本を皮下注射します。
↓
2週間後 投与2回目からは2週間に1回の頻度でデュピクセントを1本皮下注射します。
↓
その後は2週間毎にデュピクセント1本の皮下注射を継続します。
デュピクセントの自己注射について
デュピクセントはご自宅などで自己注射することも認められています。
1回の処方で、最大約3か月分の6バイアルを処方することができます。
※自己注射をするためには、最低2回の指導を院内で受けていただく必要があります。
その際は「在宅自己注射指導管理料(月27回)」
「導入初期加算(在宅自己注射指導管理料)」をご負担いただく必要があります。
ご自宅などでの注射を行っていただくメリットは
・3か月ごとの受診で治療を継続することができること
・年収によりますが高額療養制度を活用し自己負担を軽減できること
が言えますので、通院等の煩わしさを軽減することができます。
もちろんご自身で注射することが怖い場合は、当院で注射し続けていただくことも可能です。
デュピクセントの費用について
デュピクセントの費用は以下の表のとおりです。(窓口でお支払いいただく金額)
<デュピクセントの薬剤費> 1本あたり ペン:58,775円 シリンジ:58,593円 |
ペンの場合 | シリンジの場合 | |||
初回 (2本) |
2回目以降 (1本) |
初回 (2本) |
2回目以降 (1本) |
||
117,550円 | 58,775円 | 117,186円 | 58,593円 | ||
自己負担額 (窓口で支払う金額) |
3割 | 35,265円 | 17,633円 | 35,156円 | 17,578円 |
2割 | 23,510円 | 11,755円 | 23,437円 | 11,719円 | |
1割 | 11,755円 | 5,878円 | 11,719円 | 5,859円 |
※こちらの表の金額は2022年8月現在のデュピクセントの薬価を参考にしており、変更となる可能性があることをご了承ください。
※初診料、再診料、処方箋料、検査費用などは別途必要となります。
<高額療養制度について>
デュピクセント治療は費用が高額となり、収入によって助成額は変わりますが、医療費の助成制度をご活用いただくことができます。
医療機関にて1ヶ月の間に支払った金額が、一定金額を越えた場合は、費用が払い戻される、高額療養費制度がありますので、治療を受けれる場合はご検討いただければと思います。